「作業はAI、判断は人」AIと共に働く力を身につける 社内AI研修会を開催

 設備業は、人の手による技術と知識が欠かせない仕事です。だからこそ、AIに任せられることはAIに任せ、人にしかできない仕事にもっと力を注ぎたい。三河設備工業株式会社は、業務の効率化を目指し、2026年10月13〜15の3日間、豊橋サイエンスコアでAI研修会を開きました。

 当社は今期の重点方針の一つに「仕組みを『つくる』から『回す』へ」を掲げています。仕事の精度とスピードを高めるため、「行動→確認→振り返り→改善→標準化→再実行」を共通のサイクルとして日々の業務を進めています。今回の研修も、この方針に沿って行いました。

 研修には約10人の従業員が参加し、申請書の不備を見つけるアプリの開発や「Skills(スキルズ)」の設定など、実践的なトレーニングに取り組みました。

 講師には、AIの導入を支援する日本AI開発センター株式会社(島根県)の方をお招きしました。参加者の多くはAIエージェント「Claude Code(クロードコード)」に初めて触れるメンバーでしたが、「AIネイティブ」を目指して、座学と実践で学びました。

1日目:AIエージェントの基礎とプロンプトの書き方

 初日は「AIエージェントとは何か」という基本から始まりました。AIの今後の進化や、導入時に欠かせないセキュリティの考え方も勉強。一度うまくいった作業の手順を「Skills」として登録しておけば、次からはAIが同じ手順で進めてくれることも教わりました。

プロンプト(AIへの指示文)の質を高めるには、「役割設定」「制約条件」「具体例・見本の提示」「トーン&マナー」「目的」の5つの要素を意識します。AIに逆質問をさせて指示の足りない部分を補う方法も学び、実際にプロンプトを書く練習をしました。

2日目:対話力とファクトチェック

 2日目は、AIとの対話力を高めるトレーニングです。講師は「AI時代にファクトチェックの重要性が増している」と強調しました。

 AIは、事実ではない情報をもっともらしく答えることがあります。参加者は「少子化の原因」をテーマに、AIの回答から疑問点をできるだけ多く挙げ、「疑うこと」に慣れていきました。

 ファクトチェックのコツは次の3つです。

  • ■信頼できる情報源を見つける
  • ■言葉の定義をはっきりさせる癖をつける
  • ■一次情報にあたり、最新の情報かどうかも確かめる

 使う側が避けるべきNG行動も3つ紹介されました。

  • ■1回の出力だけで物事を決める
  • ■都合のいい答えが出るまで聞き直す
  • ■無意識の前提をプロンプトに入れてしまう

 あわせて、AIの意見の偏りをコントロールする練習もしました。

3日目:業務アプリをつくって公開

 Claude Codeは、権限を与えるとパソコン内のファイルを直接扱えます。安全に使うために、人が承認するしくみをつくり、AIが作業する範囲を決めておきます。さらに、常設ルールにあたる「CLAUDE.md」や、作業の説明書である「SKILL.md」を整えることで、AIが会社のルールに沿って動けるようになります。

 最終日は、申請書類の不備を見つけるアプリを作りました。作っては直す作業を段階的にくり返し、完成したアプリは「Vercel(バーセル)」で公開しました。

研修を終えて

 研修を通じてくり返し伝えられたのは、「作業はAI、判断は人。最終責任は人が持つ」という考え方です。入力や集計、文書の整形、たたき台づくり、調べものはAIに任せ、人はAIと壁打ちしながら何度も直して仕上げます。

 AIを安全に使うための原則として、「削除禁止」「範囲限定」「承認必須」「ナレッジ化」「小さく育てる」の5つが示されました。

 講師は「Claude Codeはたまごっちのようなもの。育てていくものです」とも話しました。まず動かし、結果を確かめてフィードバックする。情報を追加し、判断基準を言葉にして、Skillsやルールを更新し、また動かす。このサイクルを回し、自分の頭の中とAIが知っていることの差を埋め続けることが、上達の近道です。

 この「育てる」サイクルは、当社が掲げる「行動→確認→振り返り→改善→標準化→再実行」とも重なります。AIに任せられることはAIに任せ、人にしかできない技術と知識をさらに磨く。今回の学びを日々の業務で回し、地域の皆さまにより良い仕事をお届けしていきます。